なぬか日

昭和30年頃までは、旧暦の七月七日(なぬかび)を最終日としていました。

七月になり、日が落ちてあたりが夕闇に染まりだすと、人々は灯籠に火を灯し、 笛や太鼓を打ち鳴らしながら、街々を練り歩きました。そして、ナヌカビになると、 日中にその灯籠をを川や海に流していました。

新暦の現在は、七夕から一ヶ月遅れの八月七日をなぬか日として、弘前は八月一日、 青森は八月二日から祭が始まります。祭は夜に行われますが、なぬか日は伝統的に、 朝から始まります。そして、青森市のねぶたは夜になると、海に流すという思いを込め、 海上運行を行います。

ちなみに、秋田の竿灯や仙台の七夕も、この眠流しを起源としています。 竿灯は昭和の始めまでは、「ねぶり流し」という名称でした。 富山県滑川市では、七月三十一日に「ねぶた流し」が行われます。 紙や野菜で作った人形を、4mの松明に飾り付け、火をつけて海に流すという行事です。

ローソクもらい

北海道には、「ローソクもらい」という七夕の行事があります。函館は七月七日、 それ以外は一ヶ月遅れの八月七日に行われます。子ども達が灯籠や提灯を片手に、 歌いながら家々を廻って、ローソクを(今はお菓子)もらって歩きます。 歌詞は地域によって違いがあります。 札幌周辺「ローソク出せ出せよ、出さないとかっちゃくぞ」 函館「竹に短冊七夕祭り、大いに祝おう、ローソク一本頂戴な」 松前「ことしゃ、豊年七夕祭りよ、大いに祝おう、ローソク1本頂戴な、出さねばかっちゃぐど、 おまけにどっつくぞ」

さて津軽。 戦前、ねぶたの照明はローソクで、家々を廻りローソクをもらい歩く習慣でした。 その時に「今年豊年田の神祭り」とか「ローソク出さねばがっちゃくぞ」と言いながら廻っていました。 青森ねぶたの掛け声の「ラッセ、ラッセ、ラッセラー」はこの「(ローソク)出せ、出せ、出せよ」が 変化したものだと言われています。